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艀(はしけ)とは?Part2。操船や値段、寿命について

こと艀(はしけ)とは?


一度は目にしたことがあるけど、名前まで知っている人は少ないかもしれません。

時代とともに艀(はしけ)の数・目にする機会が少なくなったことが原因かもしれません。

しかし!

この艀、水深の関係で貨物船などが入れない河川や運河などの内陸水路や、港湾内の輸送で重い貨物を輸送することができるスゴイ船なのです!


今回は現役の艀の船頭さんに、艀の操船や長所・短所・寿命・値段などについて聞いてみました。


【目次】

     〇長所

     〇短所

     〇値段

     〇寿命      


1.艀はどうやって操船するの? 荒天時と操船上手


艀とは河川や水深の浅い海で貨物を運ぶために作られた船で、そのほとんどは推進器を持ちません。


そのため、タグボートに曳かれたり、押されたりして移動するのが基本ですが、

艀は自然の力(風や潮)の力を借りて移動することもできます。


舵が固定されている艀の場合は、風や潮の方向や強さを読み、艀のどの面に風や潮が当たるかを計算して移動するため、経験と先を予測する力が求められます。舵を動かせる船の場合は、ある程度方向を変える事も出来ます。


自然の力を借りて移動する分、コントロールできない環境では「動かないようにする」が基本。

荒天時にはロープを繋いだり、錨(いかり)を落として流されないようにしないといけません

荒天時は船が流されやすく事故が起こりやすいので、出航しないもしくはボートが近くにいる様な環境を作るとより安全です。又、積荷が時化等により荷崩れを起こしたり、穴が空いて浸水したりする事も稀にあります。 艀は揺れているので他にも転倒や落水等危険とはいつも隣り合わせです。


錨の効き方は海底の底質、潮や風の強さ、自船の積荷の量等によって変わってくるので、錨の能力に応じた場所で待ちましょう。


基本的に、船は錨と錨鎖(びょうさ)が海底と摩擦する事で船が動かなくなります

錨鎖を長く出す程海底に接する面積が増え、船は動きにくくなりますが、鎖を伸ばす程、風向きや潮の流れが変わった時に、船が振れ回る範囲が大きくなるので、周りの地形や他船の状況を見て錨を落とさなければなりません。上手くなってくると着岸する時等錨の出し方を調整する事で止まりたい位置でピッタリ止まれる様にもなります。


〇艀のロープ

艀を繋ぐロープや曳航されている時のロープにはとても大きな力がかかります。

万が一切れた時にロープに当たったり、ロープが張る時に挟まれたりすると最悪命を落とす危険もありますので、巻き込まれないように注意が必要です。


以上、基本的な事は同じですが船頭一人一人が自分の考え方・やり方で仕事をしています。

中でも、先を読んで行動出来る人が艀の操船上手ではないでしょうか。

 

2.知られざる艀の特徴(長所・短所・値段・寿命)


さあ、2章では、艀の知られざる特徴をご紹介します。

一般的な貨物船や同じく港を拠点とするタグボートと、どう違うのでしょうか?


〇艀の長所

一般的な貨物船は、5人~10数名の船員が協力し、甲板部・機関部などの役割に分かれて船を運航します。

長期間同じ船内で共同生活を行うため、生活ルールの順守や共同設備の利用などが必要になってきますね。


一方で艀の運航は基本1人。自分のペースで仕事が出来るので、海と1人の時間が好きな人には合っている職場です。艀の中で寝泊まりをする事もあるので、キャンプやアウトドアが好きな人は楽しいかもしれません。

あと陸に近い船なので、「一回乗船すると長期間陸に上がれない」ということはないのも特徴です。



〇艀の短所

職場によると思いますが、艀は積荷や揚荷の日程等が読みにくく、予定がなかなか決まらないこともあります。結果、待ち時間が長くなった英、プライベートの予定が立てにくかったりすることも。


あと基本1人での運航管理となりますので、1人の船頭が負う責任と業務範囲は自ずと広くなります

貨物や艀の管理についての経験、運航に関する基礎知識などを身に付け、1人でそれを実行しないといけない点は、ハードルでしょう。



〇艀の値段

一般的な貨物船は5~30億円くらいですが、艀の値段はいくらくらいなのでしょうか。

船の建造費は基本時価で、サイズや機能、鉄板の厚さ、建造時の鉄の相場や人件費、船台の込み具合によって増減します。


艀の値段も例にもれず、設備やサイズ、その時の鉄の値段によって値段は大きく変わってきます。

が、艀は貨物船より求められる機能やサイズが小さく、その分値段も安いです。

時価ベースになりますが、ざっくり1~3億円前後。同等の荷物を積める内航船と比べると、船価、維持費、人件費、全てにおいて安いです。



〇艀の寿命

一般的な貨物船の寿命は20~30年(償却は10-15年くらい)ですが、艀はどうなのでしょうか。

貨物船のように荒れた外海を走ることが少ない分、船体への負荷が低いように思えますが、実際のところどうなのでしょう。


船の寿命は、どれだけ丁寧に船を使用・メンテナンスしてきたかによって変わってきますが、

艀は穴が空いても鉄板を張り替えれば使えますし、設備の寿命がきても取り替える事が出来ます。

貨物船よりもシンプルな構造をしている分、設備の交換による延命が行いやすく、実際に50年以上前に造られたもので、今でも現役という船が多数あります。


以上、艀という船、その仕事内容が認知され、海のキャリアを目指す人の選択肢が増えることの一助になれば幸いです。ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

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