液体貨物の輸送に特化したタンカーは、国内外の物資輸送で重宝されています。
資源に乏しく輸入大国である日本では、原油やガソリンなどの石油製品やケミカル製品を外国から輸入することで私達が電気やガスが当たり前にある生活をおくることができるのです。
では、実際にどんな種類のタンカーが活躍しているのでしょうか。
今回は、タンカーの基礎知識情報や種類・目的などについて紹介していきます。
【目次】
1)タンカーとは!?
タンカーとは、液体貨物を運ぶことに特化した船の事です。
固形貨物と異なり、液体貨物は形がないので、船の揺れであっちこっちに揺れます。
また可燃性が高かったり、酸性・アルカリ性に偏っていたりするため、特殊な加工がない船では運べません。
鉱石や鋼材などの固形貨物であれば、輸送中に事故が起きて海上に散乱した場合、すぐに海底に沈むため、海中生物に直ちに被害は出にくいでしょう。
しかし、タンカーが事故を起こしてしまうと、石油やオイル・ケミカルなどの大量の液体貨物が海に流れ出て、大規模な環境汚染を引き起こし、海中生物に甚大な被害を及ぼしてしまう恐れがあります。
そのため、タンカーは液体貨物が事故などで船外に漏れにくい頑丈かつ、2重構造(ダブルハル)の作りになっているのです。
万が一、タンカーのタンクが損傷した場合でも、全量が漏れ出てしまわないようにタンクは複数の区画に仕切られている構造になっています。
積み込まれる液体は、何百~万トンにもなりますから一度に漏れてしまったら大惨事になります。
そのため、環境汚染や海中生物への被害、コスト面などにできるだけ大きな影響が出ないように工夫されているのですね。
2)タンカーの種類について
液体を運ぶのに特化したタンカーですが、多種類の貨物を積み合わせできるものや、特定の貨物に特化した専用船に分かれます。タンカーの種類は、以下のようなものがあります。
〇オイルタンカー
名前の通り、精製前の原油や石油製品を運ぶ船が「オイルタンカー」です。
日本には殆ど石油資源がないため、海外からの原油調達をオイルタンカーによる輸入に頼っています。
輸入先は中東やアメリカなど多様で、安定調達の面から一つの調達先に依存しないようになっています。
国内各地にある備蓄基地や製油所間の輸送は、内航オイルタンカーが担っており、発電燃料や車を動かすガソリンの配給を行う、まさに私たちの生活に無くてはならない船となっています。
〇ケミカルタンカー
液体化学品を運搬する時に使用される船舶が「ケミカルタンカー」です。
ケミカル製品は、ベンゼン・アルコール・トルエン・メタノールなど様々。
中には発火性のものや人体に有害なものもあり、取り扱いには十分注意が必要です。
船によっては、タンクを高温・低温にしたり圧力をかけて貨物を安定化したり、タンクごとに独立してポンプが設置されていたり、タンクやパイプが腐食しないようにステンレス素材が用いられていたりします。
輸送する液体化学品は服や肥料、電子部品の製造に必要なので、石油と同じように私達の生活に欠かせない物となっています。
〇セメントタンカー
タンカーは主に液体輸送に特化した船ですが、中には粉末を運ぶ船もあります。
セメントを粉状のまま海上輸送するのが「セメントタンカー」です。
日本では、セメント工場から全国各地のサービスステーションへの運搬に用いられており、セメントの積み込み、陸上タンクへの揚げ出しの際は、空気圧を利用して粉末を吹き飛ばすように荷役します。
3)タンカーは何のために、いつ作られた?
液体貨物や石油資源の輸送コストをできるだけ削減する為に、考えられた輸送手段のひとつがタンカーです。
第二次世界大戦後、中東産の石油を運搬する目的として世界各国でタンカーの数が増え大型化が進みました。
1979年には、ノルウェー船籍で世界最大級の56万重量トンもある「ノック・ネヴィス」という、オイルタンカーが製造された歴史があります。現在も、タンカーは日本をはじめ色々な国々で活躍しており、私達が生活するうえで必要な資源や物資を運搬しています。
特に島国日本では、船舶を用いた海上輸送が無ければ、豊かな生活を維持していくのは不可能と言えるでしょう。一度に大量に、物資や資源を海上輸送する事ができても、船舶の不具合や事故が多ければ採算が合いません。
過去、様々な国でタンカーの数や大型化を競い合っていた時代がありましたが、現代では安全面や効率化を高める方向性になっています。石油流出事故など、大規模な環境汚染を引き起こすため、安全を重要視するのは当然ですね。
タンカーのまとめ
タンカーは、液体や粉末貨物を運ぶタンクを持つ船舶の事です。
種類は、オイルタンカー・ケミカルタンカー・セメントタンカーなどがあります。
液体を格納する所は、頑丈かつ流出予防を行える仕組(2重構造:ダブルハル)になっていて耐衝撃性に優れています。第二次世界大戦後から、急速にタンカーの製造と大型化が各国で始まりましたが、今でも活躍していて私達の生活を支え続けています。
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