海運業界における、IoTの活用事例・将来予想をご紹介します。
【目次】
①IoTと海運業界への影響
②海運✕IoTの活用例・企業紹介
③今後のIoT活用の流れ
1.IoTと海運業界への影響
①IoTとは
IoTとは、Things(モノ)をInternetとつなぐことで、センサーやスマホなどのデバイスか
ら情報が取得・ネット上で共有され、解析・分析された情報を基に、環境・状況判断を
行ったり、物やサービスを最適化することができます。
(企業・個人情報が知らないうちに蓄積・分析されるという怖さもあります。しかし、
これからも企業・個人情報の保護との折り合いの付け方を模索しながら、IoTは世界
で開発・応用されていくでしょう)
②IoTで何が出来るようになるのか
・家庭:テレビ・エアコンなどをスマホで操作したり、ドア開閉を遠隔で行える
・健康:センサー付きの医療器具の活用やウェアラブル端末による健康状態の管理
・交通:バスや電車、駐車場、トイレのリアルタイム情報を知ることができる
・農業:作物の生育状況管理、水やりや施肥の自動化
・都市:鉄橋の状態や、水害を検知するマンホール、ゴミ箱の蓄積状態の管理
③海運業界への影響
イメージしやすいのが船舶の状態、貨物配送状態や在庫状況のリアルタイム管理です。
倉庫管理では在庫・作業状態をリアルタイムで把握したり、不法侵入を察知することが
可能となり、配送荷物の状況もリアルタイムで把握できる様になりました。
2.海運✕IoTの活用例・企業紹介
実際に海運業界にどのように活用されているのか、例を挙げて見てみましょう。
・航行 :船の位置のリアルタイム把握、天候などを加味した最適航路の提示
(ウェザーニュース・日本郵船・商船三井など)
・船体管理 :エンジンやタンクなどの船体状況の把握。トラブルの早期発見
(日本郵船、OKI・NTT DATAなど)
・監視 :衛星を使った船舶監視システムによる違反船の拿捕(Spireなど)
・港 :港湾エリア・オペレーションのデジタル管理。天候や水位の予測
(ロッテルダム港は、IBMと共にデジタル・トランスフォーメーションを
進めています)。
・貨物 :貨物・コンテナ位置のリアルタイム把握・物流最適化。書類手続き・連絡
のスムーズ化(Tradelens、Octopi、Searatesなど)
・造船 :造船部品の管理、ドローンによる現場管理、3Dプリンターを用いた、
船舶部品の製造(Serverworks)
3.今後のIoT活用の流れ
今後の海運業界におけるIoT活用の流れを見てみましょう。
・遠隔/自動航行
離れた場所からの船舶管理・自動航行が期待されます。
・航海最適化
波、天候、港の混雑状況を反映し、航行ルートが最適化されることで、物流効率化が
見込まれます。
・造船
船舶、部品と接続したIoTにより、メーカーに運用情報が蓄積され、商品の改善・開
発に活用されることが見込まれます。
・事故/トラブル予防
船体・貨物の異常をすばやく検知し、問題が大きくなる前に対処がしやすくなりま
す。船の衝突や火災・漏洩事故が減り、メンテナンスのタイミングや修理の強弱の付
け方など、データに基づいた判断が可能となるでしょう。
・健全化
取締が強化され、犯罪率が低下するにつれ、海賊・違法行為の発見が容易となる。船
員の監視も用意となり、ドラックや定期検査のさぼりの検知も容易となる。
・造船の容易化
3Dプリンター活躍の場が増え、造船の効率化・省力化が見込まれる。
・貿易業務省力化
貿易業務が自動化し、省人化が進む。
まとめ・結論
①造船や航行等、様々な領域でIoTが活用されている。現在はモニタリングの役割が主流。
②システム会社・船会社・スタートアップがそれぞれの視点で海運✕IoTに取り組んでい
る。海運というレガシー産業にある非効率・煩雑業務の改善が期待される。
③単純業務の自動化や、最適化が進むことで、業務の手間が削減される反面、省人化により
必要な労働力が減少することが予想される。
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