船で貨物輸送する方法は様々。
コンテナに収納して運搬する方法や、大きな冷凍倉庫で運ぶ方法など、けっこう多様です。
中でも広いスペースに積荷をばら積みするばら積み船は、不定形の貨物を大量に運ぶことができるため、世界の商船の40%を占めるほど普及しました。
今回はそんなばら積み船の基礎知識や用途、使用目的・種類などについて紹介していきます。
【目次】
1)ばら積み船とは!?
海運業界や貿易に関わるお仕事をされている方以外は、ばら積み船の種類や用途・目的などについて触れる機会はほとんどないのではないでしょうか。
食糧自給率が低い日本にとって必要な穀物や果物、コーヒー豆。
鋼材や電子部品の生産のための、鉄や銅、ニッケルなどの鉱石。
肥料に必須の元素であるリン鉱石。
全てばら積み船を用いて、海外から輸入されています。
ばら積み船の正式名称は、撒積貨物船(ばら積み貨物船)。
主に「穀物・鉱石・石炭・鋼材・塩」などを梱包せずにそのまま輸送することができます。
そのサイズは大小さまざまで、荷物の積載可能重量が大きい順に、以下のようなサイズ別の名称があります。
・VLOC(Very Large Ore Carrier)
主に鉱石(Ore)を輸送する巨大船。標準的な積載重量:25万トン
・ケープサイズ
鉱石や石炭を輸送。標準的な積載重量:18万トン。
パナマ運河を通航できないほど大きく、喜望峰(Cape of Good Hope)回りでインド洋/大西洋間を、
ホーン岬(Cape Horn)回りで大西洋/太平洋間を行き来する必要があることから名づけられた。
・パナマックス
鉱石や石炭、穀物などを輸送。標準的なサイズ:8万トン。
パナマ運河を通航できる最大船型との意味から名づけられた。
・ハンディマックス
穀物や塩、鋼材などを輸送。標準的なサイズ:6万トン
・スモールハンディ
鋼材や穀物などを輸送。標準的なサイズ:3万トン
・小型
上記より小さいサイズのばら積み船
2)ばら積み船の用途や目的は?
バラ積みといっても、貨物の種類は何でも良いわけではありません。
液体貨物や輸送時に衝撃が加わるといけないものなどは、あまりばら積み輸送には向いてないのです。
また複数の貨物を輸送する際は、先に積み込んだ貨物の残りが混入するなどの問題が発生することもあります。そのため、船によっては、決まった積み荷だけを輸送する専用のばら積み船もあります(通称:専用船)。
専用のばら積み船とは、より効率的・経済的に特定の貨物を海上輸送できるように設計&製造された「鉱石専用船や石炭専用船」などです。
鉱石専用船の貨物である鉄鉱石は、比重が大きいため、船の左右に厚めのバラストタンク(海水を積み込み船を安定させるためのタンク)を設け、船体中央に貨物を高く積み上げられるように設計されています。
また、穀物専用船は輸送中に貨物が揺れ動いて偏らない(船が転覆しない)ように、タンクの上部の角を斜めに削いで、貨物が動き回らないように設計されています。
一方で、ばら積み船には本来は苦手な液体製品も運ぶことができる船(兼用船)もあります。
1970年代には、兼用船が多く使われていましたが特殊な設計を必要とし値段(価格)も高価なので、現在は船舶の数が減っています。
実際に、第2次世界大戦後には世界各国で穀物の輸送量が増加した為、ばら積み船を用いて大量輸送した過去があります。
3)ばら積み船の種類は?
ばら積み船は、「穀物・鉄鉱石・石炭・銅鉱石」などの材料に適した専用船がありますが、荷役設備によっても分類できます。
〇クレーンなしばら積み貨物船
クレーン、ベルトコンベアなどが備え付けられていない船舶を「クレーンなしばら積み貨物船」と言います。
基本港に備え付けられたクレーンなどを使用して荷役を行うため、寄港できる港の数は限定されますが、クレーンの設置・運営・保守費用などを削減する事が可能です。
〇クレーン付きばら積み貨物船
「クレーン付きばら積み貨物船」は、船体に何個かの船倉を備えています。
文字通り、クレーンが貨物船に取り付けられているので、クレーンがない陸上に荷役設備がない港でも荷物を安全に積み降ろしできます。
〇セルフアンローダー付きばら積み貨物船
ベルトコンベアが設置されているものが「セルフアンローダー付きばら積み貨物船」です。
ベルトコンベアを使用して、荷物を素早く効率的に降ろす事ができます。
荷役作業にほとんど人力が必要ないのが特徴です。
〇レイカー
淡水域で運航されているタイプが「レイカー」です。
海水域を移動する船舶に比べて、腐食の影響が少ないので寿命が長いと言われています。
アメリカ及びカナダの国境付近にある、五大湖(スペリオル湖・ミシガン湖・ヒューロン湖・エリー湖・オンタリオ湖)などで使用されているばら積み貨物船として有名です。
〇BIBO
BIBOとはBulk In, Bags Out) の略で、船舶から荷物を降ろす際に、梱包する設備を備えているタイプのばら積み船です。BIBOばら積み船は、荷降ろしの時に例えば砂糖50kg単位の袋詰めが可能です。
時間的には、60分で300トンもの梱包を可能にする能力を保有しています。
ばら積み船のまとめ
ばら積み船とは、正式な呼び名が撒積貨物船(ばら積み貨物船)です。
「穀物・アルミ素材・鉄鉱石・石炭・銅鉱石」などを、梱包せずに船に積む事ができたり特定の貨物だけ運搬する専用船もあります。
船舶の種類も「レイカー・BIBO・クレーンなしばら積み貨物船・クレーン付きばら積み貨物船・セルフアンローダー付きばら積み貨物船」など色々なタイプがあります。
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