海上生活を行う商船の船員にとって、最大の楽しみは何といっても船内での「食事」です。
いくら仕事で疲れていても、海上生活が長くても、バリエーション豊かな美味しい料理が食べられれば、溜まったストレスの発散に繋がります。
船員になれば、乗船中の食費はどうなるのか、船内ではどんなご飯が出てくるのか気になる方は多いのではないでしょうか。
今回は、船員の食事代はタダって本当なのかや、料理メニューと船内の料理人「司厨士」などについて紹介していきます。
【目次】
1)船員の食費は無料?その理由について
乗船期間中の船員は常に職場在住、海の上。24時間乗船していることが多いので、その間に食事もしっかりとらないといけないですよね。
そんな船員の方の食事は誰が作って、費用は誰が負担しているのでしょうか。
船員の労務規則や待遇は、「船員法」や組合規程によってある程度定まっており、乗船中の船員の食費は会社が支給してくれます。(※ただし、自身の娯楽で購入するお酒やお菓子などは自腹)
乗船している船に司厨士(海のコックさん)が乗船している場合は、司厨士さんが食事を提供してくれるし、自炊や当番性の場合は支給金が渡されるのでその中でやりくりを行うことになります。贅沢三昧をしない限り、この支給金の中で食費が賄えるため、船員の乗船中の食費は基本タダという事になります。
1人暮らしのサラリーマンの食費が、おおよそ3~4万/月と考えると、年8ヶ月乗船する場合には24~32万円の支出差が出るため、馬鹿にできない待遇ですね。
2)船内メシのメニューや料理担当など
船員は船内の様々な場所を行き来するので、デスクでパソコンをずっと触っているサラリーマンより体を動かします。階段の上り下りや、荷役作業などで汗水垂らしながら働いていると、自然とお腹も空いてきます。
乗船中は気軽にコンビニや外食に行けない船員にとって、毎日の「食事」は、一番の楽しみと言っても過言ではありません。
そのため、船内メシのメニューやその美味さ、栄養バランスはとても重要。
裏を返すと、この食事がイケてないと地獄です・・・。
ではこの料理は、誰が作っているのでしょうか。
〇船内の料理担当(司厨士・自炊・持ちまわり制・担当制)
・司厨士
調理師免許を持ち、船内の調理を専門とする役職が司厨士です。司厨士は飲食店やホテルなどでコックをしていた人や料理学校の卒業生がなることが多く、その料理の腕は一般的に高いです。
ただ、司厨士ならだれでも船内のご飯が大満足!という訳ではなく、
様々なジャンルの調理ができる人の方が船員も飽きないですし、栄養バランスの計算や食材管理が上手い人の方がより健康的なご飯が出されます。
船内生活の一番の楽しみが食事なので、司厨士が乗船している船の方が、御飯が美味しく調理の仕事もないため、船員の人気が高い傾向にあります。
・自炊
船にはそのサイズや船室の数に応じた乗船人数の上限があります。
そのため、商船であれば必ず司厨士が乗船できるという訳ではなく、船員の定員が5名~6名位の小型船となると、司厨士が乗船できる空きがなく、基本的に自分たちで料理をすることになります。
各船員に食料金が支給され、自分が食べたいものをつくるのが自炊制です。各自味付けや好みが異なるため、自分のことは自己責任にしてしまう方がもめごとになりにくいです。
・当番制
司厨士がいない船で、各船員が持ち回りで料理担当を行うのが当番性です。全員の料理を調理当番が作ることになるので効率的である一方、料理の得手不得手やメニューに頭を悩ませることになるため、負担も大きいです。
・担当制
船内で調理担当を決め、その人が全船員の料理を作るのが当番制です。だいたい若手が担当することが多いですが、ベテランと若者で好みが異なり、料理担当はあれこれ味付けやメニューについて言われる可能性もあるため、特に若者は嫌になりがちです。
〇メニュー(各寄港地の名産品が味わえる、釣果が食事になることも)
船内メシの種類は様々。作ろうと思えば、結構何でも作れますが、特に船乗りが扱う食材の特徴を
紹介します。
・各地の名産品
船は基本様々な港に寄港するため、その土地の名産品が現地調達でき、それを味わうことができます。
基本的に食材は、仮バースの時や荷役の合間に数名が最寄りのスーパーへ買い出しに行くことが多いですが、大量の段ボールやかごに食材を詰め込んでいる人がいれば、それは船員の方かも知れません。
・新鮮な魚
船乗りは自室を出て1分で海なので、空き時間に魚釣りができます。釣った魚はこの上なく新鮮なので、刺身にしたり、干物などで楽しむことができます。
また、船は揺れるため、船内での調理は、IHが主流になっています。
ガスよりも火災の危険性が低く安心ですね。料理経験があまりない乗務員でも、手軽に美味しく作れるような献立が支給されているなど工夫している船もあります。
トビウオが船に飛び込んできて、その魚を調理して食べたり釣ったりして釣果が食事になることもあります。
〇食材の管理方法
船内には食材を保存するために大型の冷蔵庫や冷凍庫が設置されています。
海の上なので、陸上と違って気軽に食材を調達できないので、賞味期限の長いものを買ったり台風が近づいている時は、普段よりも多めに購入しておくなど管理にも気を使っています。
〇栄養バランスの重要性
料理人の司厨士が乗船していたり、持ち回り制や担当制で料理を作る場合は栄養バランスの偏りがおきにくいですが、船員各自で作る船は自分の好きな食品だけしか食べない人もいるので注意が必要です。
料理や栄養バランス管理が苦手な人や、面倒くさがり屋の人はカップラーメンばかりになってしまうことも。これは船員の高い肥満率の原因でもあります。。
長期間ずっと海の上で仕事をしながらの生活ですので、体調不良や病気にならないように栄養バランスを考えなければいけません。
3)船内の料理人「司厨士」とは
司厨士は、調理師免許を持った料理のプロで、船員のために栄養バランスを考えた献立を提供してくれます。1日3食はもちろん、夜間作業がある時には、夜食を出してくれることも。
料理を作るだけではなく、計画的に食品管理や衛生管理を行ったり、買い出しや調理場の後片付け、船によっては荷役のサポートも行います。
〇船舶調理師の資格
司厨士になるには、陸の料理人同様調理師免許が求められます。さらに、近海や遠洋を航行区域とする総トン数1000トン以上の船で調理をする場合は「船舶調理師」という国家資格が必要となります。
船舶調理師の受験は、筆記試験と実技試験に合格する必要があり合格率は6割~9割位だと言われています。資格取得に、乗船経験が求められるため、最初は沿海を走る船に乗船して経験を積んだのち、船舶調理師の受験資格を得ることが多いです。
〇陸の調理師との違い(給料・勤務形態)
陸の調理師と海船内の頼れる料理人司厨士は、お伝えしたように国家資格の種類に違いがあります。
給料は、陸の調理師の平均年収が約300万円~400万円位で、司厨士の平均年収は約500万円~600万円ほどと言われています。
調理師を含め飲食業界は、あまり休みをとれない仕事ですが、司厨士は休日も多く長いと1ヶ月前後の連休がある職業です。
船員食事まとめ
乗組員は、仕事とプライベートの境がなく、緊急時にはすぐに駆けつけて対応しなければなりません。
そんな過酷な環境のなかで、毎日の食事は一番の楽しみ。
料理は、船員各自で作ったり司厨士が作るなど、乗船する船によって違いがあるので、希望の会社を探す時はしっかり確認しておきましょう。
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