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【三等航海士】求人票には載ってない船内生活24時

更新日:2022年10月10日

はじめに


こんにちは、アニキ船長です。

今回、解説するのは三等航海士の仕事


この記事を最後まで見て、三等航海士の仕事と役割を理解しよう。


(⬇︎動画で見られる場合はコチラ)

<目次>

 ①三等航海士の仕事

 ②三等航海士の一日

 ③2人の現役航海士にインタビュー

 

1.三等航海士とは


一口に「船乗り」と言っても、その業務内容や役割は役職によって様々だ。


船内の役職は大きく分けると、船の操縦や荷役の監視を行う『甲板部』と、

エンジンや船内機器の管理、メンテナンスを担当する『機関部』に分かれる。


甲板部は、一等航海士、二等航海士、三等航海士という役職に分かれており、

貨物の安全輸送や航海全般を管理する運転手のようなポジションだ。


「船を動かす運転手が3人も必要なの?」と思うかもしれないが、

船は昼夜問わず、一日中運航しているため、甲板部の勤務体制は当直制を採用している。


航海当直は1日を6分割し、4時間交代の合計8時間、役職ごとに決まった時間帯、

船の進路を見張っているぞ。


今回は航海士の中で一番新米で、これから二等、一等航海士になるため奮闘する

航海士の第一ステップ「三等航海士」だ。


三等航海士は「サードオフィサー」と呼ばれ、航海士共通の業務である航路先の見張り、

航海日誌の記入などの航海当直以外にも、消火・救命設備の管理、保守や衛生管理など、

業務範囲はとても広い。


入出港時には「水先人」と呼ばれる、港のプロを船内に迎え入れる業務などもあるぞ。


「え!?航海士って船を動かすプロじゃないの?」と思うかもしれないが、


日本は貿易港だけでも約1,000港の港があり、各港で地形や海流などが違うため、

安全に船や貨物を輸送するために、水先人が入出港の補助を行っているぞ。


三等航海士の担当当直は、8時~12時、20時~24時の『パーゼロ』が多い。

一般的な生活リズムに近く、船長が補助しやすい時間帯で航海士として経験を積んでいく。


お給料は会社・年齢・経験で違いますが、危険や専門的な資格が必要ということもあり、

手当が多く、同年代のサラリーマンと比べて高めの年収になっている。


航海士として経験や資格を取得し、キャリアアップしていけば、年収は上がっていくぞ。


 

2.三等航海士の1日


それでは、三等航海士の1日を紹介しよう。


7時    起床

      船の揺れが大きく、天候もあまり良くないので、

      気を引き締めて業務に当たろう。


7時30分 朝食を食べ、着替えや歯磨きを済ませる。


8時    出勤

      職場までの通勤時間30秒。一等航海士と引き継ぎを行い、航海当直に入る。

      航路の監視や海図やAISを使用して、広い視野で船の所在地を確認している。


      今日は昼過ぎに船が多い海域を通るので注意が必要だ。


12時   昼食

      航海当直を終え、昼食を食べる。

      食後の海を眺めながらのコーヒーブレイクは、船乗りの特権だ。


13時   自由時間

      当直以外は基本、自由時間だが、入出港や荷役作業がある場合は船橋に入る。

      また三等航海士の担当業務は衛生管理と救命設備の点検


      救命用ボートや救命胴衣、信号器類などは緊急時、正常に使用できるかが

      乗組員の安全に繋がるため、チェックは入念に行わなければ。


16時   自由時間。

      自室でゆっくりしつつ、折角持ってきたダンベルがあるので、筋トレを行う。


17時   夕食

      同僚が釣った魚の刺身が食卓に並ぶ。食後は次の当直に備え、仮眠を取る。


20時   2度目の航海当直

      夜間や霧の際は視界が悪く、荒天後は流木やゴミに注意して監視を行う。


24時   就寝

      二等航海士と引き継ぎを行い、就寝。


乗船中はこのスケジュールを毎日続ける。


この船は3か月乗船して、1か月休暇という働き方だが、船上生活は案外気に入っている。海が好きな人にはおすすめの職場だ。

 

3.2人の現役三等航海士に突撃インタビュー


続いては、2人の現役三等航海士に詳しい仕事内容をインタビューしてみよう。

まずは冷凍船で働く若手三等航海士だ。


Q.三等航海士の仕事内容を教えてください。

入出港時には書類の作成など船長の補佐を行います。

命に関わる救命具の管理や衛生管理も三等航海士の仕事ですね。


Q.三等航海士の仕事の「やりがい」を教えてください。

海技免状を活かし、巨大な船を操船している時はやりがいを感じます。

中々こんな経験できませんから。


Q.三等航海士に求められるスキルはありますか?

航海士の中では一番、経験が浅いですが、当直中は船の運航を任されている身なので、

見張りをしっかり行い、周囲の状況変化を見据えて的確に操船することが求められます


Q.船乗りを目指す方に伝えたいメッセージはありますか?

実習船と商船ではギャップがあると思いますが、慣れてくれば大丈夫です。

初乗船は挫けず頑張ってください。


気を張り続けると疲れてしまうので、適度な息抜きは大切です。

ですが、あからさまに休んで先輩に目をつけられないように上手くやりましょう。


ありがとうございます。
 

続いては、多目的作業船で働く、5年目の三等航海士だ。


Q.三等航海士の仕事を行う上で大切な心構えはありますか?

まずは、先輩航海士の指示をしっかりと聞き、理解することですね。

二等、一等航海士の仕事を観察・勉強して、航海士の技術を学んでいきましょう。


Q.三等航海士特有の仕事の難しさはありますか?

経験や知識も浅いので、中々作業提案、改善案が受け入れられない難しさはありますね。


Q.船乗りを目指す方にメッセージをお願いします?

働き始めると覚えることも多く、なかなか勉強する時間が取れません。

資格は学生のうちに取っておいた方が後々楽ですよ。


ありがとうございました。
 

まとめ


①三等航海士は航海当直や衛生管理、救命設備など船員の安全や健康を管理する役職


②業務範囲が広く、経験もまだ浅い分、日々の勉強が必要


③甲板部の一員として船を動かし、多くの貨物や乗客を安全に運ぶやりがいのある仕事


 

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