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船乗りになってよかったことベスト5

更新日:2022年9月6日

20名の船乗りの方にアンケート回答頂き、船乗りになってよかったことをまとめました。

今回は船員を目指す方に、その魅力をお伝えいたします。


目次

1. 船乗りの定義

2. 船乗りになってよかったことベスト5

3. 船乗りの本音おわりに


 


1. 船乗りの定義

 国土交通省によると、外航船員から漁業船員までをまとめて「船員」と呼びます。


 船員は、ざっくり職員と部員に分かれます。職員は船長、航海士、機関長、機関士などで国家資格である海技資格を持っている人を指します。


 部員は、職員を補佐することを主な職務とします。職員より豊富な経験を持つベテラン部員もいます。また、未経験者や海技資格取得を目指す人は部員からスタートになります。乗船履歴を積むことで国家試験にチャレンジすることが出来ます。

 

2. 船乗りになってよかったことベスト5


ここからが本題です!

先輩船乗りの貴重な意見に基づくランキングを第5位から順に記載します。



第5位「安定している」  安定な職業と言えば、公務員が頭に浮かぶ人多いと思いますが、船乗りも安定した職業の一つです。  その理由ですが、まず始めに「業界の安定性」が挙げられます。日本は島国であり国際物流の殆どは船舶によるものになります。貿易量の99.8%が海運によるものですので、海運がなくなることはないでしょう。


 次に、海技資格は「国家資格」であることです。率直に言って、船員職はつぶしが利きます。海技資格は、船員市場はもちろん、一部陸上職でも有利に働きますので、海技資格は一生ものです。




第4位「仕事にやりがいを感じられる」  海運は人々の生活基盤を支える非常に重要な産業であり、船員の方々は、元々海や船が好きな人が多く、その分仕事への熱意も高い人が多いです。


 海技士資格を取得するためには実習や履歴、国家試験に合格する必要があることも、仕事へのやりがいにつながっている側面があります。


 船内では、航海士が船舶の運航・荷物管理を行い、機関士がエンジンや電気系統の整備を、コックさんは食事の準備、と分担作業が求められます。誰一人として欠かすことはできません。船内の乗組員全員の協力が必要です。


 中でも最高責任者である船長は最もやりがいのを感じられる職務の1つです。離着岸の操船・指揮を行い安全に着岸出来た時は最高の瞬間でしょう。




第3位「専門性を身に付けられる」

 5位の「安定している」に繋がるものでもありますが、「専門性を身につけられる点」も、船員も魅力です。  航海に関する知識は航海士が、エンジンに関する知識は機関士が身に付けることが出来ます。その一部は陸上でも活かすことができます(車の修理や配線作業などに役立ちます)。


 専門性が身に付くと、仕事や転職などで有利に働き、また自身のやりがいや自信につながります。




同率第1位「給料がよい」  なんといっても、船員の魅力はその「給料の高さ」です。  国家試験を持ち、専門性が高い船乗りは社会的に貴重な存在です。さらに、その勤務形態(船内生活・昼夜問わずの業務)から、必然的に給料が高くなります。


 船内生活のおかげで食事、浪費を減らすことが貯金に繋がるというメリットもあります。


 給料が最も高いのは船乗りの最高職である船長・機関長になりますが、平均年収は1,000万円程度となります。40代前半でこの年収は魅力ですね。外航船船長や豪華客船船長ともなるとそれ以上の収入が目指せます。




同率第1位「休暇がまとめてとれる」


 会社や状況次第ですが、外航船員なら2ヶ月程度、内航船員なら1週間から1ヶ月程度の長期休暇が取得できます。これほどの長期休暇が取得できる職業はなかなかないです。


 休暇の時期は基本的に選ぶことは出来ませんが、一度下船すると次の乗船まで、海外旅行や家族サービスに使ったりと好きなことが出来ます。

 

 おススメは、平日の旅行です。混雑するシーズンを避けることで、安く有意義な時間が過ごせます。


 

3. 船乗りの本音


 船乗りは珍しい職業ということで様々な質問を受けます。この記事もそうですが、船乗り用語をなるべく使わずに船での仕事のことを伝えることはなかなか難しいです。


 船乗りへの質問で特に多い質問と本音をピックアップしてみました。


「どんな船に乗っているの?」  回答:原油を運ぶタンカーに乗っています。  本音:毎回船種が違うこともあります。VLCC(巨大タンカー)、PCC(自動車専用船)、コンテナ船って言っても伝わらないだろうな。東京タワーくらいの長さ300m級の船に乗っています。と言えばインパクトが強かったかな。ちなみに、漁師と間違われること多数です。



「海賊っているの?」  回答:もちろんいます!  本音:「いない」って答えて欲しかったのだろうな。そして、あなた方が思う漫画のような海賊ではなく武装した海賊がソマリア沖・アデン湾にいます。海賊海域を通航する際は、船員に危険手当てが出ることもあります。



「外航船員は英語がペラペラじゃないと出来ないの?」  回答:ペラペラではないけど日常会話くらいなら出来ますよ。  本音:専門的な海事英語さえ出来れば何とかなります。海外旅行と同じで、身振り手振りで乗り切ることも出来ます。


 


おわりに

 国土交通省によると日本人船員数は、外航船員約2,000名、内航船員27,000名となっています。

                              *国土交通省HPより


 図から分かるように、40年前から船員数は右肩下がりです。特に外航船員は40年前の10分の1以下と減少しています。船乗りは魅力的な職業であることを認知されていないのかもしれません。


 同業者に船乗りになった動機を聞いても、「親父が船乗りで~」や「親父の会社が船会社で~」などと船乗り二世や三世が多いように感じます。そんな私も船乗り二世です。

 

 周囲を海に囲まれた海洋大国日本の船乗りリテラシーは非常に低いです。船員が減少しているのでなおさらでしょう。もっともっと海運業界を知ってもらえれば幸いです。

 

著者について 氏名:磯崎 亮(仮名) 保有資格:3級海技士(航海) 2級水先免状(3級水先免状) 経歴・船種:練習船(1年)・コンテナ船(3か月)・その後水先人へ 船員を目指したきっかけ:船乗りになりたかった。水先人は操船・離着岸に特化した仕事なので天職と感じました。 仕事内容:水先業 参考:国土交通省(船員とは):https://www.mlit.go.jp/maritime/maritime_tk4_000016.html インタビュー・加筆修正:ITecMarin株式会社 写真: https://burst.shopify.com/ , https://stock.adobe.com/jp/




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