この記事では、船員のとある一日を紹介いたします。
隣の芝は青いのか!?
船員を目指す方、他の船種・船員生活に興味がある方、是非ご覧ください。
目次
1.今回の船員・船種について
2.船員の一日紹介
3.最後に
1.今回の船員・船種について
・船タイプ :内航船 ・船種 :499 コンテナ船 ・航海タイプ :定期船(決まった航路を航海する船) ・著者役職 :二等航海士
2.船員の一日紹介
①船員の朝 06:30~07:10: 錨を下ろした(アンカー)場所から一日が始まります
船員の朝は早いです。そして機関部の方が早いです。船のエンジンはとても大きいの
で、スタンバイの前、早い段階から暖機をする必要があります。
冬の朝はとても寒く、風を遮るものが何もないので一発で目が覚めます。
07:30~08:00: スタンバイ、錨を上げ港に入ります
離岸時はチョッサー(一等航海士)とセコンド(二等航海士)が船首で係船作業をし、機関長とファースト(一等機関士)が船尾で係船作業をします。
499船は人数が少ないので係船作業は大忙しです。
大きな船だとチョッサーが係船のロープの巻き方の指示を出し、ウインチ(巻上げ機)を操作するウインチマンが操作します。
船首に二人しかいない本船の場合、チョッサーはロープを出したり船橋にいる船長とマイクでやり取りをしているため、ウインチを遠隔操作できるリモコンで二等航海士が船と岸壁の距離を測りつつ船をつけていきます。
08:00 :船員と陸のスタッフが共同で荷役を行います 荷役の前には、船員と陸スタッフの間で荷役計画の打ち合わせを行い、荷役手順を取り決めます。
08:30 :荷役を開始。荷役中、船員は交代で荷役の監視をします 荷役責任者はチョッサー(一等航海士)となるので、何かトラブル等があった際はチョッサーが対応します。荷役中は何十トンもあるコンテナが頭上を行きかうため非常に危険です。
新米のころから荷役中は絶対にコンテナの下に入ってはいけないと指導されました。
10:30~12:00 :航海中に行う作業の準備や、食事を交代でとります 本船には司厨長がいないのでスーパーで買い物をして調理をします。
自分の食事は自分で用意するというのが本船のスタイル。ここは船によって様々ですが、一日1,500円前後が会社から食材費として提供されます。給料とは別のへそくりですね。
会社は船員の食材と生活のための必需品を提供しなければいけないという法律があります(船員法)。
会社から支給される食糧金を使ってちゃんと調理をする人、冷凍食品やスーパーのお惣菜を冷凍したり人によって様々です。中には食糧金でたばこを買ったり、嫁さんに内緒のへそくりとしてそのお金でパチンコに行ったりする人もいます。
②船員の午後
15:00: 荷役が終わるとすぐに出航します 航海中は交代で操船をします。
船によって順番のルールが異なりますが、ゼロヨン(00:00-04:00)、ヨンパー(4:00-8:00)、パーゼロ(8:00-12:00)の完全に時間区切りで交代する場合と船内で相談して操船の時間を決める変則ワッチ(当直)があります。
ワッチは、航海士は船と船がぶつからないように操船し機関士は機器の監視をする時間のことを言います。これは英語のwatchからきています。
ワッチ以外の時間は、自由時間なので昼寝をしたり、趣味に時間を使ったりします。
23:00:アンカー 次の目的地である港に近づくと船長に操船を変わり、港の岸壁が空いていたら直行で接岸空いていない場合は錨をおろしてアンカーします。
24:00 :就寝 今日の業務は終わり。すべての作業が終わると就寝という形になります。船の上から見る景色は船員の特権ですね。
船員の生活は荷役状況や他船の荷役の進展状況によってかなり変わりやすく予定通り予定が進むことの方が少ないです。予定が未定ということも多々あります。船員にとって臨機応変に状況に対応していく能力も必要です。
3.最後に
船員は不規則で大変な業務であることには間違いありません。しかし船員にしか見られない景色や船員にしかできない経験がたくさんあります。
それを経験できたことが今一番良かったと思えることです。
私は誰でも船員にはなれると思っています。この記事を読んで船員について興味を持っていただけたら幸いです。
著者について 氏名:五十嵐 春人(仮名) 経歴・船種:二等航海士・コンテナ・在来船 船員を目指したきっかけ:知人の紹介 インタビュー・加筆修正:ITecMarin株式会社 写真: https://burst.shopify.com/ , https://stock.adobe.com/jp/
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