船から見た幻想的な景色トップ10
- ITecMarin
- 2020年6月9日
- 読了時間: 11分
更新日:2022年10月7日
皆さんこんにちは!
私が投稿させて頂くのは今回が3回目。
前回の記事(船員経験を通じて身に付く、陸でも役に立つスキル3選)の中で、船から見える星空のすばらしさについて少しふれたのですが、今回は船員の特権の1つ、船から見られる幻想的な景色ついてお話させて頂きます。
突然ですが、「人生で見た中で一番感動的な景色は」を聞かれかれたら何と答えますか?
例えばインスタを見ていると、この世のものとは思えない幻想的な景色がたくさん見られますよね。そんな忘れられない景色が、誰でも1つはあるのではないでしょうか?
そこで今回は
元航海士の私が見た、息をのむほど美しい光景トップ10をご紹介します。
「海って見渡す限り海と地平線の世界じゃないの?」と思われる方もいるかもしれませんが、海は様々な表情を見せてくれます。
船の上からしか見られない、絶景、写真をぜひお楽しみください。

第10位 海から見る街の夜景
まずは「海から見る夜景」。つまり、街の明かりです。夜景といっても、長崎や函館のような観光地の夜景ではなく、ここではごく普通の街の明かりのことだと思ってください。
太平洋などの大洋を横断して遠く離れた港間の航海は、長ければ1か月以上に及びます。
その長い航海の間、自分の周りに「人や文明」を感じる機会は非常に限られます。
基本的には同じ船に乗っている人か、時々すれ違う他の船だけ。近年は衛星通信技術が向上して、インターネットで会社の陸上職の方だけでなく、家族・友人とも繋がりを持つことができます。しかし、他の人たちと物理的な繋がりがほぼないというのは寂しいものです。
そんな状態が長く続いた後に、水平線の彼方から陸地が見えたときの興奮はひとしおです。特に夜の航海当直中、街の明かりを見つけたときは、砂漠の中から宝石を見つけたような興奮を覚えます。
ちなみに、「ランドフォール」という言葉があります。昔の航海者たちは最初に陸地を確認したとき、「ランドフォール!」と船内を叫びながら走り回ることで船内に陸地発見を知らせるとともに、その興奮を仲間たちと分かち合ってのではないかと思われます。

第9位 流氷・氷山・白熊
北極海や南極海など、極に近い地域では流氷や氷山が見られます。特に南極では、大陸から分離した大きなテーブルマウンテンのような氷山が見られる確率が高くなります。
「氷山の一角」という言葉があるように、氷山は海の上から見えているのはごく一部で、その何倍もの体積の氷水の下にあります。映画にもなった「タイタニック」号は氷山に当たったのが原因で沈んでしまったというのは有名な話です。
そのため、航海者にとって流氷や氷山は警戒対象でもあるのですが、自分が当直に立っていない間などは船のすぐ傍を流れていく変わった形の氷や、凍り始めて蓮の葉のようになった氷、そして氷の上に乗り込もうとする白熊などの幻想的な光景を見て楽しんでいました。

第8位 アリューシャンマジック
「アリューシャンマジック」という言葉は初めて聞く人が多いのではないでしょうか。
簡単に説明すると、北太平洋のアリューシャン列島(アメリカとロシアの間の島々)付近に、世界中の海洋生物が一堂に会し、辺り一面を埋め尽くす現象のことを言います。
その生物とは、豊富なプランクトンを狙う魚、イルカやクジラなどの海獣、海鳥類など。
まさに食物連鎖の縮図です。
船の右左でシャチは鋭い背びれを見せ、イルカは自在に泳ぎ回り、海鳥がその間を真っ黒に埋め尽くします。航海者としてはクジラに船をぶつけてしまわないか、少々肝を冷やす場面ではありますが、目の前でザトウクジラがジャンプを繰り返す様子は迫力満点です。


第7位 鏡のような水面
天気が良い日は、爽快な気分になりますよね。雲一つ無い青空というのは、まるで心が洗われるような清々しさを感じさせてくれます。
それだけでも感動的な出来事ですが、海ではその感動を何倍にもする組合せが存在します。それが、鏡のような水面です。
世界中の海は繋がっているので、仮に今いる場所で風が無くても、遠いところで発生した波が伝わってきます。そのため、どんなに穏やかな日でもちょっとは波があるのが普通です。しかし、日本海などの比較的狭い範囲の海で数日間風のない日が続くと、ごくまれに、湖のように静かな水面になることがあります。

その中を船が進むと、船の後ろに綺麗な八の字の波(専門用語では引き波と言います)が描かれます。その波を乱す要素も一切存在しませんので、これがはるか水平線の彼方まで続いているように見えます。文字通り、振り返ると今までの「航跡」を見ることができます。
辺り一面の雪景色、足跡一つ無い場所を一人で進んでいく、そして振り返れば足跡がどこまでも続いていく・・・そんな感覚に近いと思います。

第6位 夕焼けの空とグリーンフラッシュ
仕事や学校が終わって、ふと西の空を見上げると真っ赤な夕焼け。陽が沈むにつれてだんだん紫に変わっていく空を眺めつつ、1日の余韻に浸りながら家に帰った・・・という記憶が誰にでもあるのではないでしょうか。
陸地にいても夕焼けは綺麗ですよね。ですが、海から見る夕焼けはもっと綺麗です。

まず、全天が夕焼けに染まる様子が見られます。西の空は鮮やかな赤、東の空は薄暗い赤。そしてそれが映る海も深みのある赤。
そして陽が沈む瞬間、クライマックスには、「グリーンフラッシュ」という現象が待っています。これは、陽が沈む瞬間、赤い太陽が一瞬だけ緑色に光るというものです。条件が揃わないと見られないレアな現象なので、天気の良い日船では多くの人がデッキ上に出てきてその瞬間をカメラに収めようと待ち望みます。
船員時代は年間の4分の3くらい海にいた私でも、グリーンフラッシュは年に1~2回しか見られませんでした。これはただの自慢なのですが、1度に3連続で見たことがあります。
水平線近くの入道雲に隠れる瞬間・そしてその下から出る瞬間・その後水平線に沈む瞬間、この3連続でした。船乗り仲間の誰に言っても信じてもらえませんが、本当です。
ちなみに、映画「パイレーツオブカリビアン」でもグリーンフラッシュを扱っていましたね。あれはCGなので実際のグリーンフラッシュはもっとおとなしいですが、それでも見られた時の感動は映画の比ではありません。

第5位 流れ星・隕石
街中では流れ星を見る機会はほとんどありませんよね。毎年、流星群が見られる時期にはニュースになります。
天気が良い日は、流れ星は船の上からなら流星群の日では無くても、必ずと言っても良いほど見られます。流れ星が見える間に願い事を3回唱えれば願いが叶う・・・などと言いますが、自分はそのおかげか、何度も願いを叶えてきました。中でも、一番衝撃的だったのは「隕石」と言ってもいい大型の流れ星を見たときです。
ある日、いつものように夜間当直に立っていると、突然周囲が明るい緑色の光に包まれました。最も光の強い場所には、赤く燃える隕石がごく一瞬ですが見えました。隕石の後ろには、きれいな長い尾が見えました。おそらくその隕石は海に落ちたか、直前に燃え尽きたと思います。
何の予兆もなく現れた隕石は一瞬の恐怖と、それが過ぎ去った後の興奮を残していきました。ほとんどの人には無縁だと思いますが、地球上のどこにいても隕石が落ちてくるリスクはあるという事実を思い知った出来事でした。
第4位 フィヨルドと氷河
フィヨルドや氷河、地理の時間に習ったけど見たことはない、という方がほとんどではないでしょうか。フィヨルドとは氷河で削られた土地に海水が入り込み、自然に出来た細長い運河のようになった地形を言います。
船ではときどき、フィヨルドを通る機会があります。自分が船員時代に通ったのは、チリのパタゴニア山脈のフィヨルドです。数千メートル級の山脈が海のすぐ傍に双璧をなし、まるで山を船で登っているような不思議な感覚になったのを覚えています。

第3位 珊瑚礁
「きれいな海」と言って多くの人が連想するのは、南の島の珊瑚礁の海ではないでしょうか。私も、まったくその通りだと思います。まるでボートが空中に浮かんでいるかのような光景をガイドブックなどで見たことがあるのではないでしょうか?
まさにその光景を、船からも見ることができました。
珊瑚礁の外で強い風が吹き荒れていても、環礁の中に入ると一瞬で静かになります。
また、珊瑚礁のある浅いところは青白く見えます。ふつう、例えば本州付近の海に浅瀬があっても、海の色が変わって見えることはほぼありません。珊瑚礁の海は手に取るように浅い場所がわかるので、見ていて面白いです(狭いので船で通るときはヒヤヒヤしますが)。
余談ですが、環礁の中はその環礁内で暮らす人たちの庭のようなもの。ある環礁では、その中で一番大きい島に、周辺の島々から仕事に来る人たちが乗った船が集まってくる、いわば「海の通勤ラッシュ」に出会ったことがありました。日本の通勤ラッシュとは違って、楽しげでうらやましい限りです。

第2位 オーロラ
このランキングでは第2位としましたが、「一生に一度は見たいものランキング」第1位、それがオーロラです(筆者調べ)。
しかし残念ながら日本ではほぼ見られず、多くの人は飛行機を何時間も乗り継いで行かないと見られません。さらに、頑張って行っても滞在中にオーロラが出なければ見られません。有給を全部使って旅行日程を組んだのに、結局見られない・・・という悲劇もあり得ると思います。
それだけレアなオーロラですが、私は北極海や南極海にも行く船に乗っていたので、何度も見ることが出来ました。一番印象に残っているのは、オーロラを初めて見たとき。最初はただの雲と見分けがつかないくらいぼんやりしたものでした。ところが時間が経つにつれてみるみる規模が大きくなり、最終的には緑と赤の光がカーテン状に揺らめく、皆さんもよくご存じのあの光景に変化していきました。
今思えば、あれはビギナーズラックでした。後にも先にも、緑色だけのオーロラはよく見ましたが、赤色になったところまで見られたのはそれが最初で最後でした。カメラを持っていなかったのが心残りです。
なお、気候変動の影響で北極の氷が減少したのを逆手に取り、外航海運各社は東アジアと欧州をつなぐ北極航路の活用を進めています。これから外航船に乗り組む方は、オーロラを見るチャンスが多くなるかもしれません。

第1位 満天の星空
前回の記事でも触れましたが、何といっても第1位はこれです。
満天の星空を見ると自分が宇宙の一部にいるという事実をダイレクトに感じられます。以前も書いたように、人間が肉眼で見られる限界と言われる6等星まで(おそらく)見ることが出来ます。数万光年も先の星が静かに輝いている様子は、どれだけ見ても見飽きません。
これについては、私が多く語るのは野暮というもの。ぜひこの記事を読んでくださった皆さんにも、実際に海上で満天の星空を見ていただき、その素晴らしさを味わってもらいたいと思います。

というわけで、今回は元航海士が「船から見た幻想的な景色トップ10」を私の体験談をベースにお話しさせていただきました。
船の上での楽しいこと、感動的なことというのは、まだまだここに書き切れないくらいたくさんあります。自然が相手なので時には厳しさを感じることもありますが、それがまたスパイスとなり、今回ご紹介したような光景をより感動的なものにしてくれます。
これを読んでくださった皆さんの中から、この普段から感動的な場面に出会える船という職場に興味を持った人が一人でもいると嬉しいです。それでは、次の記事(もしくは私の務める某教育機関)でお会いしましょう!
著者:飯島 竜也(仮名)
職業:外航船員➡船員教育機関
保有資格:一級海技士(航海)、第三級海上無線通信士、他
経歴・船種: 商船高専→商船系大学→海事系大学院(修士)➡海洋調査船
船員を目指したきっかけ:ドラクエVのオープニングに感動したこと
著者他記事
写真:筆者提供、https://burst.shopify.com/
インタビュー・加筆修正:ITecMarin株式会社
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