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北極海航路は国際物流を変えるのか

更新日:2022年8月28日

北極海航路開拓の歴史と現在を見ながら、今後の展開を考察しました。


目次

1.北極海航路開拓の歴史

2.北極海航路開拓の現状

3.北極海航路の今後まとめ


 

1.北極海航路開拓の歴史

 ① 北極海航路の歴史   まずは北極海航路開拓の歴史を見てみましょう。   

  ・2009年    気候変動により、北極海の海氷域面積が減少。夏季(6月後半-11月後半)の航行が可能

   となり、ヨーロッパー東アジア間の商業輸送で初めて利用される。     ⇩   ・2013-17年    年間1-18件の国際輸送を継続実施(鉄鉱石・ナフサ・LNG・鯨肉など)     ⇩   ・2018年    国際輸送17件(風力発電機剤・コークス・鉄鉱石・資料・パルプ・鯨肉など。商船三

   井が日本初の砕氷LNG船の航行を開始)


 ② 北極海航路のメリット   砕氷船を使用しながらでも、北極海航路を使用するには訳があります。

  ・距離が短い    欧州最大の港であるロッテルダム→日本の場合、約30-40%の航海距離削減

  ・数千万円の高額なスエズ運河通行料を支払わなくて済む    スエズ運河を通過する船は、高額費用や値上げに従う他なし

  ・ソマリア海峡(海賊が発生する海域)を避けられる


③ 北極海航路の課題  メリットもある北極海航路ですが、解決すべき課題も多いです。

・未だコスト割高  氷海航行知見のある船員・専用保険・専用装備に加え、砕氷船と船団を組んで進む必要あ

 り。現在のところ、基本的にはスエズ運河航路より割高。

・ロシア砕氷船エスコート料が不透明(コストが読めいない)

・氷海航行事故リスク


 

2.北極海航路開拓の現状

北極海航路活用に向けた、政府・企業の現状を見てみましょう。

① 政府  ・ロシア:北極海航路の輸送量を24年末までに18年比8倍に拡大する方針  ・日本 :産学官連携で、北極海航路活用に向けた研究・会話を推進中   

      https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/ocean_policy/sosei_ocean_tk_000021.html


② 企業  ・2018年に日本初の砕氷LNG船の航行を開始(商船三井  ・ロシアの水運大学と、北極海航路輸送向けの船員訓練・採用・育成を目的とした覚書

  を締結(商船三井  ・砕氷船のエスコートなしで、北極海航路を航行実験(Maersk  ・ロシア天然ガス大手のノバテクなどと北極海航路を経由した輸送事業で提携

  (中国遠洋海運集団


 


3.北極海航路の今後

 北極海の海氷面積は中長期的に減少傾向に有り、海氷面積減少が進むほど航海難度が低下する見込みです。現在抱えている課題について、今後の流れを整理してみましょう。


① 現在の課題への対策  ・コスト削減   海氷面積の低下、造船技術の発達に伴い、運航コスト低減が見込まれる。不確定要素は

  『ロシア砕氷船エスコート料金変動』『環境保全のために新たな条約発効』『寒冷化に

  よる海氷面積の増加』。


 ・ロシア砕氷船エスコート料金の不透明性   ロシア政府は今後北極海航路の物流量を大幅に増加させたい意向あり、その障害となっ

  ているエスコート料金の明確化を行うことが期待される。


 ・安全性/航海ルートの最適性向上   氷海航海する船の性能向上、航海技術熟達、航路提示サービスの質向上が期待される。


② 海運物流への影響  想定されるシナリオの一つを記載してみました。

 ・北極海で採掘・生産される石油・天然ガス輸送で、北極海航路が普及    ⇩  ・ロシアエスコート料金の透明化と、造船技術・最適航路洗濯技術の上昇により運航コス

  トが削減    ⇩  ・結果、北極海航路の利用量が増加    ⇩  ・北極海航路普及に対抗する形で、スエズ運河通行料が減少。コストメリットを分水点に

  スエズ航路と北極海航路の物流量が決定する    ⇩  ・価格競争原理が働き、スエズ航路と北極海航路間で健全な価格競争・設定が行われる。


 


まとめ

①北極海航路開拓の歴史  2009年に北極海航路の利用が開始。その後、年間10-20隻弱の船が北極海航路を利用

②北国海航路開拓の現状  コストの高さ・不透明性と事故リスクから、依然スエズ航路が多く使用されている。北極

 海航路普及の為の法整備・人材育成・船舶改良が進んでいる。

③北極海航路開拓の今後  北極海で荷積みをする貨物船の北極海航路利用から始まり、コスト・リスク低減が進むに

 連れ、北極海航路の利用船隻数が増加。コスト分水点で、スエズ航路と北極海航路の物流

 量が決定すると予想される。


参照:国土交通省開示データ



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