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船乗りの悩みベスト5と乗り越え方

最終更新: 7月4日

20名の船乗りの方にアンケート回答頂き、『船乗りの悩み』と『その乗り越え方』をまとめました。


どの職業にも悩みはつきものですが、悩みのある船乗りさん、船員を目指す方の参考になれば幸いです。


目次

1.船乗りの特徴

2.船乗りの悩みベスト5

3.船乗りになって感じることおわりに


1.船乗りの特徴

 船乗りの職業・職場の大きな特徴を3つ挙げると、


①多様で限られた空間  船内には船長やコックさんなどの様々な人、仕事・プライベートが混在しています。船

内空間という一定の空間で、関係者が24時間生活しています。


 好きな人だけと同じ船に乗れるわけではないので、多様な人と関わりながら仕事をする必要があります。陸上職も様々な人と関わる点は同じですが、船内空間という限られたエリアで生活を共にする点が特徴です。


 時には、上陸し羽根を伸ばすことが出来ますが、殆どが自身の職務を全うするために日々仕事に励んでいます。



②働き方(まとめて働き、まとめて休む)  外航船、内航船、フェリー、タグボート等により変わりますが、大抵はある期間乗船し、長期休暇(1週間から2ヶ月と幅広い)を取得するという働き方となります。


 乗船中は子供の成長を側で見ることはできませんが、休暇になれば毎日送り迎え、夏休みなら毎日お出かけが出来ます。


 友人船乗り同士で休暇が合えば長期海外旅行なども出来ます。ちなみに、四国88箇所お遍路の旅を徒歩で行った猛者もいます。



③船乗りの繋がりは強い  一般的に言って、船乗りの先輩後輩・友人関係は非常に強いです。


 特定空間で、長期間寝食を共にすることが、強固な船員学校の繋がり、会社内の繋がりを生みやすいです。


 同じ環境で切磋琢磨した仲間とはよく会い、よく飲み、時には会社の愚痴や将来の目標なんかについて語り合います。初対面の船乗りでも「どこ学校の何期生か」を言えば知り合いに辿り着くケースも多いです。



2.船乗りの悩みベスト5


さて、ここからが本題です! 先輩船乗りの貴重な意見に基づくランキングを第5位から順に記載します。


第5位「船酔い」

 まさかの悩み第5位は『船酔い』です。船乗りは船酔いしないと言うのは都市伝説かもしれません。


 しかし、台風や爆弾低気圧などが接近し大時化の中航海を続けなければならない時には、如何に船員と言えど船酔いすることもあります。ちなみに私は学生時代実習中に大時化になった時に同期を介抱していました。揺れの種類によっては船酔いする人・しない人がいるようです。


<対策>

 正直なところ、慣れるしかないです。大型船になるほど揺れを感じることは少なくなりますので(大型客船などは揺れを軽減するフィンスタビライザーが付いています)、どうしても酔いがという方は、船種で選んでみるのも手です。




第4位「電波が届きにくい」

 陸上で働いている人にとっては、あまり馴染みはないかも知れませんが、電波の弱さは大きな悩みの種です。


 海上でスマホを使う人が非常に少ないこと、基地局が設置できないことにより海上では電波が入りにくくなっています。20年前は手紙と超高額な衛生電話が通信手段でした。


 現在では、陸に近い所など、電波が入るようになってきましたが、未だ通信費は非常に高額で、速度・容量は陸上と比べて見劣りします。私が外航船員だった頃は、港に着いたらフリーWi-Fiのある某有名コーヒーチェーンを探して動画を大量ダウンロードしていました。


<対策> 

 技術の進歩は素晴らしく、今では船内無線LANにてSNSやテレビ電話が出来るようになってきています。太平洋のど真ん中からLINEのやりとりが出来るようになっています。そのうち、VRを使って家族とのコミュニケーションが取れる時代が来るでしょう。


 余談になりますが、内航船は陸岸近くを走るため電波が入ることが多いので、そのタイミングを狙ってオンラインゲームをしている猛者もいます。




第3位「休暇が不規則・中々陸に帰れない」

 船乗りにとっての休暇は長期間になります。しかし、船、配乗のスケジュールによっていつ休暇になるか、いつ海上復帰するか中々わかりません。


 「子供の運動会に出られるか分からない」「友人と旅行の日程が組めない」「家族の冠婚葬祭に出られないかも」など、休暇時期が読みにくいゆえの悩みは多数あります。


 逆に「休暇が長すぎて時間を持て余す人」もいます。休暇中やりたかったことを全てこなしてしまうと、暇になってしまいます。陸上職の友人と遊ぶのは夜や土日だけで、平日の日中はニート状態になることもあるようです。


<対策>  ①会社に相談したり、希望を出すことにより緊急下船をさせてもらえることもあります。


 ②どうしても、休暇で悩みたくない方は、フェリーや官庁船、タグボート、バンカー(給

  油)船、観光船に就職することをお勧めします。これらの場合はスケジュールが決ま

  っています。またタグボート、バンカー船、観光船は港内での業務が主ですので日帰り

  船乗りになり、毎日自宅に帰れます。


 ③休暇がいらない!長すぎるという場合は、有給を買い上げしてくれる会社を探すことも

  できます。


 ④休暇中の過ごし方で悩む場合は、アルバイトや勉強、ボランティアに精を出すと言うの

  もいいことですね。また、休暇中に歯の治療することは推奨します。船内に常備薬等は

  ありますが、虫歯が痛くなっても治療することが出来ないからです。




第2位「仕事量と休憩の不規則さ」

 仕事のリズムや量から派生する問題は、大きな問題の1つです。


 船乗りの仕事は操船だけではありません。各船乗りには船長・機関長・一等航海士などの職務があります。航海士の場合は1日8時間の当直業務以外にも点検や、荷役準備、書類作成などが付きまといます。


 近年では、特に品質管理や法律遵守のチェックリストなど書類作成が多くなりました。また、総出で取組む入出港業務など、深夜であろうが仕事をしなければならない場合もあり、休みが不規則になることもあります。


<対策>  ①仕事の要領の良さは自身の睡眠時間確保に繋がります。スムーズに仕事をこなせる方

  法・コツは、船内の先輩や前任者などから教えてもらいましょう。情報の取捨選択は必

  要ですが、ネット上での情報も参考になります。


 ②船内で協力し合い、お互いを助け合える船内環境であれば時間外労働を減らすことが出

  来るでしょう。しかし、サボる人がいると自分がとばっちりを受けてしまいます。コ

  ミュニケーションを十分とり、時には会社、船長と相談し自身の休み時間を確保しまし

  ょう。




第1位「人間関係」  いちばん多く出た意見は「人間関係」でした。


 やはり24時間同じ空間で仕事・プライベートを過ごす環境上、「四六時中一緒にいると疲れる」「パワハラ」「人間関係の当たり外れがある」「理不尽に怒られる」など様々な意見がありました。


<対策>  自室に籠ってばかりいると、悪い噂を流されデメリットばかりです。

 気持ちを切り替え、仕事以外の場面(船内でのコーヒーブレイクや飲み会)に積極的に参加して自身を認めてもらえるよう努力しましょう。


 反面教師の先輩を見て、後輩との付き合い方を考えてより良い環境にして快適な職場を目指しましょう。同じ気持ちの人が複数人いるならば、会社に配乗を考慮してもらうよう伝えましょう。


 一般論ばかりになってしまいましたが、人間関係はどこの職場でも大変重要です。船内で24時間共にする船乗りは陸上職員に比べさらに重要であり難しい問題です。

 つまりは、人間関係を制することが出来れば船乗りは陸上職員よりも快適であり、楽しい職場になります。ベテランと若手では育ってきた環境が違い、考え方も違います。


 価値観の違いがあっても、怒ったりせず自身が冷静な対応を見せることを続けましょう。そのような考えの人が増えると、自然と船員の職場環境がより魅力的なものになりますね。



3.船乗りになって感じること


 私は、外航船社から現在水先人となっています。水先人の世界は船長経験者がほとんどで私のような30歳はペーペーだと言われています。


 最初は、何も分からず勉強の日々でした。名前も覚えてもらえず、怒鳴られ、存在自体を否定されている気分でした。そして、人により言っていることが違いと毎日のように悩んでいました。


 その頃は、同期や年の近い先輩に支えてもらい、愚痴をこぼすことがストレスを発散する方法でした。そのうち仕事に対して余裕が出来ると趣味の時間を取れるようになり時間配分を自分なりに確立することが出来ました。


 どの船乗りも最初は「会社のルール、船長ごとのポリシー、船種による業務の違い」に悩みます。しかし、社会で生きる上で誰しもが直面する問題でもあります。


 言い換えると、「会社のルール、上司のポリシー、部署による違い」です。船乗りはその問題が少し大きいだけです。大きいからこそ解決できれば天下です。少しずつ船内環境を変えていって欲しいと思います。自ずと、賛同する人が続いてくると確信します。


 また、あなた一人だけ無理をする必要はありません。周囲の助けを借り、相談することもできますし、転職することも検討できます。人手不足は船乗りも同じですので、貴方に合う職場は他にもたくさんあると認識することで、気持ちの持ちようも楽になりますよ。

おわりに


船乗りはしんどいばかりの職業ではありません。 その分メリットも大きく、一例ですが、

① 通勤1秒(自室から出ればそこが職場)  ※満員電車に揺られる心配なく、誰かが起こしてくれるので寝坊しません。


②高収入・長期休暇あり


③家賃・電気ガス水道無料、3食食事付き  ※給料はより多く貯蓄できます。コンビニ浪費の心配もありません。さらに、外航船乗り

  は酒・タバコを免税で買えます。


 視点を変えると陸上職員の悩みを考えなくて良く、メリットもたくさんあります。


 海運業界を魅力的にするには、船員一人ひとりの心がけと、業界PRが必要です。マイナスイメージばかりが広まりやすいですが、いい話を徐々に浸透させていける海運業界にしていきましょう。


 最後に、船会社に伝えたいです。より良い環境を作ることが、船乗り不足の効果的な対策、安全運航への近道なのではないでしょうか。

著者について 氏名:磯崎 亮(仮名) 保有資格:3級海技士(航海) 2級水先免状(3級水先免状) 経歴・船種:練習船(1年)・コンテナ船(3か月)・その後水先人へ 船員を目指したきっかけ:船乗りになりたかった。水先人は操船・離着岸に特化した仕事なので天職と感じました。 仕事内容:水先業 インタビュー・加筆修正:ITecMarin株式会社 写真: https://burst.shopify.com/ , https://stock.adobe.com/jp/



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